なぜ自作カホンの音は『スカスカ』になりやすいのか?400人の手元を見て分かった、理想の低音を出す『気密性』の壁

自分でカホンを作ったのはいいけれど、

「なんだか低音が出ないな・・・」

「音が全然響かないな・・・」

日々、問い合わせフォームから送られてくるメールでは、そんな悩みを持った方が多いです。

そんな方のために、わざわざ問い合わせなくてもよいよう解決策を書いておきますね。

「形はカホンなのに、音がカホンじゃない」という悩み

カホンを自作した方の多くが、完成した瞬間にこう感じます。 「あれ? 思ったより低音が響かないな……」

叩いてみても、響き線のジャラジャラいう音ばかりが目立ち、お腹に響くような「ドン!」という低い音が出ない。実はこれ、自作カホンにおいて最も多い「失敗」のパターンです。

私はこれまで400名以上のワークショップ参加者と一緒にカホンを作ってきましたが、実はこの「理想の低音を出す」ことこそが、最も難しく、かつ設計の差が出るポイントなのです。

 犯人は「目に見えない隙間」

なぜ低音が出ないのか。その理由はシンプルです。

箱のどこかから空気が漏れているから。

カホンは打面を叩いた際、箱の中の空気が圧縮され、その振動がサウンドホール(穴)から一気に放出されることで低音が鳴ります。しかし、板と板の間にわずか1mmでも隙間があれば、せっかくの空気圧がそこから逃げてしまいます。

これは、普段私がYoutubeで更新している自作スピーカーでも全く同じことがいえます。

箱型のものを鳴らすのに隙間はなければないほうが良いです。

今まで相談を受けてきた中で、私が確信したことがあります。 それは、「適当にカットされた材料で完璧な気密性を作るのは、至難の業である」ということです。

「適当にカットされた??ちゃんとお店の人、専門のプロにカットしてもらったよ!」という方もいらっしゃるかと思いますが、そういう方も対象です。一体どういうことでしょうか?

自作派を悩ませる「板の反り」と「カットの精度」

なぜ隙間ができるのでしょうか? 理由は2つあります。

  • ホームセンターのカットの限界: ホームセンターのパネルソーは効率的ですが、楽器用ではありません。数ミリの誤差が積み重なると、組み立てた時に必ずどこかに「ズレ」が生じます。

    切る方も、寸法通りに切るのが仕事なわけで、そこまで気を使って切ってくれてはいません。
    例えば、カホンキット想の材料は、パネルソーの刃の降下の速度を最遅にしてカットしており、断面はつるりと仕上がっています。ホームセンターでカットしてくれる人がそこまで気を使ってカットしてくれるでしょうか? そうして出たバリなどがホームセンターのカットの限界だと私は考えています。

  • 木材の「反り」: 木は生きています。安価な合板は、買ってきた時点でわずかに反っていることが多く、そのままボンドで貼っても密着しません。
    あまり、言いたくはないですが、ホームセンターで在庫としてある材料は私たち建築に携わる人間が、数ある在庫の中からよさそうなものを寄って残った材料です。2×4のSPFなんてみても3Dに曲がったような在庫ばかりがあるのがお分かりいただけるかと思います。

ワークショップやカホンキットでは、そもそも材料の狂いが無く、カットの精度も正確な材料を用意できますが、ご自宅で一人で作業する場合、この「隙間」を埋めるのは非常に高いハードルになります。

「あいはらの木のキット」が、誰でも低音を鳴らせる理由

私たちのキット「想-OMOI-」が、初めての方でもプロ級の低音を出せるのには、2つの「仕掛け」があります。

① コンマ単位のカット制度」

あいはらの木のキットは、板と板の接着面が限りなく平らにしています。

先ほども説明した通り、カット時にパネルソーの降下速度は最遅にしてバリが出ずまるでかんなで削ったような断面に。これにより、ただ、底板に側面板をのせて重しをのせるだけで、物理的に隙間が生まれない構造になっています。

② 素材が生む「音の粘り」

使用している「シナ共芯合板」は、一般的な合板に比べて密度が均一で、非常に「反り」が少ないのが特徴です。材木屋として、400人の成功を支えるためにたどり着いた、最高かつ唯一の選択です。

この合板は市販のカホンにも使われていますが板自体の価格が高く、やはり4~5万円ほどしてしまいます。

 道具を揃える前に「設計」を選んでほしい

カホンを自作しようとすると、つい「叩き方」や「塗装」に目が行きがちです。しかし、楽器としての命は、目に見えない「気密性」にあります。

もしあなたが、「せっかく作るなら、ライブでも使えるような図太い低音を鳴らしたい」と思うなら、「失敗しようがない精度」を意識してみてください。

400人の参加者が、最初の一打で「おぉっ!」と声を上げるあの感動を、あなたの自宅でも再現できるように。私たちは今日も、1/10mmの精度で木を切り出しています。

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